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用になり有給育児休暇(15か月間)が権利として保障される。さらに、子どもが病気になったとき親が安心して介護にあたれるよう、(両)親保険から介護特別休暇が子どもが12歳に達するまで子ども1人につき年間60日間保障される。
子どもが1歳に達し保育が必要であれば、最寄りのコミューンから公共保育を受けることができる。実際にかかる保育費用(年間60,000クローネ以上)の約10−20%が親の負担する保育料金(しかも所得の大きさによる料金算定)であり、残りは税金還元が行なわれる。
所得状態がニ−ズにともなわない場合適用される住宅手当金制度も、有子家庭に対する重要な社会政策のひとつである。したがって、低所得世帯であっても1人1寝室の住宅スタンダードが保障される。
児童手当金はすべての子どもに対して、16歳に達するまで同額給付される普遍的サービスであるが、大学にいたるまでの学校教育にかかる費用(教材や給食費など)もすべての子どもに対して税金還元がなされ無料である。また、義務教育期間の就学児童に対する予防接種などの保健サービスも無料で提供される。子どもが高等学校に進学する場合は、児童手当金にかわって奨学金が修学期間給付される。

 

壮年期:
完全雇用政策による就労権の保障により、健康であれば自らの労働によって生活を営むのが普通である。しかし、病気になれば所得比例によって支払われる傷病休業保険が支払われ、また入院経費(3000−5000クローネ/日)も大幅に税金が還元され本人負担は1996年現在1日80クローネである。また近親者の介護を希望する場合、年間60日間の介護有給休暇をとることができる。機能障害により労働能力が欠如する場合は、国民年金による早期年金が所得保障にあたる。一部的に労働能力が低下したり、欠如する場合には、一般労働市場での助成金雇用、保護雇用、デイセンターでの日常生産活動が保障される。また、税金の還元により文化・余暇活動施設が安く利用できる。

 

老年期:
65歳に達すると基本的に年金受給者の生活に入るが、所得保障として基礎年金による老齢年金(すべての人に同一額)と付加年金(所得比例)が給付される。その他、医療・福祉サービスがニーズに応じて提供されるが費用は大幅に税金が還元されるので、本人負担は少なく所得比例方式を基本とするものである。したがって、経済的な要因によって必要とする住まい、サービスやケアが受けられないということは一切ない。左右するのはニーズがあるかないかということである。

 

今日ある家族政策のイデオロギー的ルーツは、1930年代の改良政策に求められるが、大部分が第二次大戦後発展したものである。スウェーデンの社会政策は、政策のすべてがすべての人を対象とする普遍的なものではなく、普遍的なものと選別的

 

 

 

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